ablabo.は岡山県の山間部、西粟倉村にある小さな油屋です。
おいしい油を搾りたい、そしてその油はたくさんの笑顔の素になると信じ、
昔ながらの圧搾法で油作りをしています。
油の原材料となる植物の種子は背景の明らかな
納得のいくものを購入し、その種に一番合った搾り方を探し出して、
できあがった油をおいしく食べる方法も考え伝える。
油が生まれるところから、皆さまの食卓まで、
真摯に向き合い届けることが私たちの使命です。

アブラボができるまで

私が初めて「おいしい油」に出合ったのは、2013年。
料理好きなはずなのに、あれこれ凝った料理を作ろうとするあまり、「おいしいってなんだろう」ともやもやしていた頃でした。
搾りたての新鮮なオリーブオイルに出合い、茹でたり焼いたりしただけの野菜にかけてみたら、とびきりおいしい。原料の味が生きている油は、料理の素材の味も際立たせてくれるし、料理の底味を上げてくれると確信しました。
その後、自分が思う「おいしい油」を探すなかで、昔ながらの方法で菜種油を作る師匠に出会いました。当時、すでに90歳を超えていた師匠。いい油を生産していく後継者がいない事実を知り、ならば自分が生産者になろう、と油屋として歩んでいく決心をしました。

油を「搾る」

菜種油専門に油屋を営んでいた師匠に弟子入りし、菜種を焙煎して油を搾る工程を間近で見続けました。
油は「搾るもの」だというのは、実際の作業を目の当たりにして初めて実感したこと。種の状態から焙煎や搾る圧力を見極めて、油はできるのです。
油の搾り方にマニュアルはありません。師匠のやり方を見ていたとはいえ、ablabo.を立ち上げて自分で選んだ素材で油を搾ろうとしたら、なかなかうまくいきませんでした。
種の種類のみならず、同じ素材でも気候や作り手によって少しずつ種の状態は違います。ひとつひとつの状態を見極め、少しずつ加減をしながら、自分が思い描く、素材の味が生きたおいしい油を心を込めて搾っています。

アブラボが考える油とは

おいしい油は、料理の底味を上げてくれる調味料です。素材そのものや、焼いただけ、蒸しただけ...といったシンプルな料理に加えるだけで、味がきまり、ぐんと味わい深くなります。
そのため、ablabo.では、油自体のおいしさにもこだわって、できる限りシンプルな工程で、余計なものを一切加えません。種のジュースに近い仕上がりを目指し、油を作っています。
シンプルだからこそ、その年に収穫された種の状態によって味は変化するかもしれません。ワインやオリーブオイルのように、その年による味の違いを楽しんでいただければ幸いです。